治癒

2/2
前へ
/166ページ
次へ
ある町角にて コトノハはふと立ち止まった 目の前に白い猫がいる よく見ると右手に酷い切傷を負って血を流していた (どうしよう…動物はちょっと苦手だから近寄れない…です) 困ったように眉をハの字にさせて猫を見つめる 猫はコトノハの気を知ってか知らずかみゃあと鳴いた 午後の町は静かで人通りが少ない コトノハは周りに人がいないか確かめてから 恐る恐る猫の傍に近寄る 「すぐに治すからちょっと我慢してね」 猫の右手を両手でふわりと包み込む するとコトノハの手のひらから青い光があふれ出て 猫の右手を包み込んだ 見る間のうち血は止まって傷口は塞がり やがて傷の跡さえも消えて元の白い毛並に戻る 「これでもう大丈夫だから。次からこんな怪我をしないように、ね」 猫はみゃあと一鳴きすると背を向けてどこかへ行ってしまった。 猫の姿を完全に見失ってからコトノハは自分の右手を見やる。 手の甲に少し深めの切り傷 赤い血もにじみ出ていた 「結構痛いものですね…」 image=481608924.jpg
/166ページ

最初のコメントを投稿しよう!

51人が本棚に入れています
本棚に追加