続・ジュリエットの憂鬱

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<凪目線> 2月のカーニバル(謝肉祭)が終わると冬の気配は少しずつ消えて、街には春の気配が漂い始める。 街路樹は新芽を吹き、気の早い花たちが開き始める。 私は、この季節がとても好きだ。 3月8日、イタリアは国中でFESTA DELLA DONNA(フェスタ・デッラ・ドンナ)という女性のためのお祭りがあり、その日は、男性が日頃お世話になっている女性にミモザの花を贈る習慣がある。別名は「ミモザの日」。 街にはミモザの花束を売るワゴンも出て、街全体がどこか華やいだ雰囲気になる。お菓子屋さんやバールの店先にも、ミモザを形どったチョコレートやボンボンが並ぶ。 本当は「国際女性デー」と言って世界的に有名な日らしいけれど、日本にいた時は聞いたことがなかった。 日本の男性は照れ屋さんだからしようがないけど、こんな習慣がもっと広がったらいいなあ、と思う。花を贈るって、とても素敵なことだ。 今日は私のバイト先でもあるトラットリア・アルカーデも早くから大賑わいだ。この日は特別だから女性たちは夫や家族を残して、バールやトラットリアやリストランテで遅くまで羽目をはずす。大がかりな女子会といったところだろうか。 イタリアの男性って案外束縛する人が多くて、出かける時もほとんど女性同伴が多い。女性だけで食事をしている人たちっていつもは少ないから、今日は独特の雰囲気がある。
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