続・ジュリエットの憂鬱

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「え・・・・・・?」 不思議そうに見上げた私に彼は、はにかんだような笑顔を見せた。 「少しだけ・・・・話がある」 その瞬間、何か大事なことを考えなくちゃいけなかったことを思い出した。だけどあんまり浮かれていたから、すっかり忘れていた。 「はい・・・・・・」 私は力なく頷いた。なんか、あんまり聞きたくない話のような気がしていた。これはきっと女の勘っていうやつだ。 片岡さんの部屋は広くて、でも、すごく綺麗に片付いていた。 座っててと言われてソファに腰をかけると、部屋に静かな音楽が流れ始めた。 片岡さんは私に温かい紅茶を淹れてくれた。ほのかに甘い紅茶を飲むと、騒いでいた心が少し落ち着いたような気がした。 彼はソファの隣に座って、手に持ったカップをじっと見ていた。何故か声をかけられなくて、私はミモザの花束を手に取って、それを見ることにした。 とても綺麗だ。ミモザは愛と幸せを運ぶと言われているけれど、ぴったりな感じ。ふわふわしてとても可愛い。それからオレンジ色のガーベラとピンクのスイトピーと、この青いのは何て言うんだっけ?ええと、たしか。 「凪ちゃん」 来た、ホントに来た。という感じで片岡さんの声を聞いた。しようがなく顔を上げて少し上目遣いで彼を見た。 片岡さんは真面目な顔で私を見ていて、そして言った。
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