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三寒四温
冬から春に変わり始める頃は
三日間は寒い日があって
四日間は暖かな日
そんな1週間を繰り返し
そのうち暖かな日の方が増えてきた頃に…
本格的な春がやって来る
*
春先取りと言わんばかりに、真っ先に咲き始め
まわりに爽やかで甘い香りを漂わせる沈丁花も
今日ばかりは咲いたまま凍りそうな気候です
もう3月下旬なのに…
今日は2ヶ月ぶりに小林さんに会うんです
なんでそんなに間が空いたかというと…
前回会った時に、シンガポールからのお土産を渡しつつ、ついつい清水主任との事を…
ノロケ過ぎまして///
しばらく顔を見たくないと言われたからです(泣)
そしてさっき六本木にあるイタリアンのお店に着いて…
席に通されたのですが…
ただいま凍死寸前ですっ
「こ…小林さんっ!こんな雪の日にわざわざ…」
夜半から降り始めた季節外れの大雪のせいで
東京郊外の実家から、ここまで来るのにかなり時間がかかりました
それでも、小林さんに会うために頑張ってきたのに…
「なんで…なんで…」
寒すぎて言葉がつなげませんっ
「この雪の中…テラス席なんですかっ!?」
高層ビルの3階部分に、少し張り出すように作られた広いテラス席は
半分くらいまでは濡れたりしない程度には屋根があり、ラグジュアリーなソファーが置かれ
きっと
気候が良ければ
めちゃくちゃいい感じな場所なんだと思います
「…仕方ないよ。雪の日は絶対にテラス席だって聞かなかったんだから。ま、寒いけどタバコも吸えるし…」
って言いながら、小林さんもタバコを挟んだ指が震えてませんかっ?
実は今日はこれからもう一人来るんです
そして、その人が今日の召集をかけた人物だったりします
しかし…あのっ!小林さんがこんな理不尽な事を耐えてしまうなんて…
「小林さん…いくらあの人の希望でも…」
更に強くなってきた雪を見ながら抗議の言葉を言いかけた時
ドアが開く気配がして
振り返るのと
小林さんがソファーの後ろに頭を倒されながら…
覆い被されるように
キスっ(!?)をされるのと同時くらいでした
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