Ultimate―終局―

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[急に居なくなって本当にすまない。どうしても今やっておかないといけない事があってシンガポールに行ってくる。] はは… むしろ今までよくここに来ていてくれたな… って感じなくらいなのに… たぶん無理させてしまってた でもそれは… [本当はもっと…せめて元気に笑ってくれるまで側に居たかった] 無理は私の為じゃなく 自分の為…ってきっと言うんだろうなぁ [そして何もまだ話せていないのもごめん…。お願いがある。年内には目途をかならず付けて連絡をするから…待っていてくれないだろうか] サイドデスクに置かれた新聞の一面には 清水コンチェルンのお家騒動… と言ってもミタニア王国絡みではなく どうやら豊さんが父親を追い出して 会長制度を無くして 更には清水コンチェルン始まって以来の 同族以外の人間を社長に据えたと言う それこそ政財界がびっくりするような改革をしたらしく 連日大々的に報道されていて 株価にも相当な影響が出ていました 正直 それに伴って ゴシップ記事的に煌家との事も 幸成さんの女癖の悪い放蕩息子として書かれても居ました どれだけ大変かはわかっていたんです そしてその大変な時に 私にどれだけ時間を割いてくれたかも もう十分 分かってました 「うん。待ってるよ…幸成さん」 声に出したのは 幸成さんにちゃんとこの気持ちが伝わるような気がしたから だから… 負けないで頑張って                * 地面に着地する反動があって キラキラと夕日を反射させるターミナルビルが見えてきました ふふ… ダメです 自然と笑みが浮かんでしまう シンガポール行きのチケットが届いたのは つい二週間前でした 搭乗日はクリスマスイヴ 二年前、初めて二人で過ごした シンガポールを思い出してしまって この二週間は高柳さんや真美、小林さんに ニヤニヤしてて気持ち悪いと言われ続けていました(笑) 一方ナディアさんからは 春からの本格始動にしたから シンガポールで金持ちとお友達になってらっしゃいと言われてます(いや…無理だと思うんですけど…)
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