第8話

11/37
前へ
/37ページ
次へ
なんか、どうしよう。 この会話、オチがないじゃん。 どう返していいかわかんないよ。 「その…、ずっと、 私だけ…ってことは、さすがにないでしょう」 やだ、心なしか、声が震えちゃう。  「アメリカで、好きな人とか… つきあったりとか…あったでしょう…?」 少し間を置いて、 「向こうでの最初の一年は荒れた」 くぐもった声が出た。 「言葉のストレスに加え、 おまえに振られたと思って、裏切られた気持ちになって」 当時を思い出したのか、とても苦しげ…だ。   「親を恨んで、おまえを恨んで。   憂さ晴らしするようにタバコを吸ったし 酒も飲んだし――…女遊びもした」 急に、胸がズキンと痛くなって、常務の声が一瞬遠のいた。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1677人が本棚に入れています
本棚に追加