第8話

14/37
前へ
/37ページ
次へ
あたしは、このやるせない表情に打ち勝つ方法を知らない。 安心させてあげたい気持ちになる。 「いや、いい…」 「いません」 なんでかな。 「和也さん以外は、誰ともつきあってません。  いなかったから―――…心惹かれる人が」 あたしはクラスの男子には全く興味もなく、 和也さんに恋心を抱く事もなく、 不思議と誰も好きにはならなかった。 「じゃ…、おまえ、もしかしたらまだ―――…」 常務はその先を言おうとして 「…いや、何でもない」 急いで押しとどめ、そして、頬を綻ばせた。 さっきとはうって変わり、とても嬉しそうな顔だ。 一体、何を言おうとしたのだろう…?
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1677人が本棚に入れています
本棚に追加