第8話

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*    *    * 明和中の校門の少し前に空き地がある。 そこに車を止めて、二人で歩いた。 「うわー、本当に久しぶりっ!  懐かしい」 時刻は午後三時過ぎで一番日差しがきつく感じる時間帯。  肌が痛い。 そして蝉の大合唱がかなり耳障りでうっとおしい。 「うんざりする暑さだな」 常務は手をパタパタさせている。 ほぼ、無駄な行為に等しい。 「ええ、本当に」   生ぬるい風を送った所で涼しくなるとは思えないけどな、と あたしは彼に苦笑を送った。 校門を抜け、下駄箱の方へ近づいたけど 人のいる気配は全くなくて…。 「あっ、よく考えたら、“今日から夏休み?”」 あらら、最後、二人ではもっちゃった。
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