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「グラウンドへ行きましょうか」
「そうだな」
常務があたしの前を歩いて、あたしはその後ろについた。
あ…れ。
あたし、いつだったか、
そういえばこうやって……常務の後ろを歩いて…いて、
そして……
不明瞭な記憶の糸を辿ろうとしていた時、
常務が急に立ち止まり、あたしも爪先立ちした。
ここはちょうど部室が立ち並ぶ小屋に差し掛かったところ。
くるりと振り返ったかと思ったら、
あたしの腕を掴んでひっぱった。
「戻れ」
「え? っちょ、 どうしたんです?」
「人がいる」
あたしは何が何やらさっぱり。
「いいじゃないですか。
別に悪い事しに来たんじゃないんだし」
「バカ。 顔だけそっと出して、見てみろ」
訝しく思いながらも、とにかくその通りにしてみれば。
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