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だって、このくだりでいくと
キスでもしてしまうんじゃ……なんて思うと……。
常務も同じ光景を目にしているはず。
あたしは顔をひっこめると同時に後ろへ少しさがった。
だけど常務は同じように下がってはくれなくて、
あたしの背中と彼の胸はぶつかって
ひっつく形になってしまった。
―――と、その瞬間、常務の腕がのびてきて、
包み込むように掻き抱かれた。
「…っ、」
「少しだけ―――… 」
驚いたけど、
「少しだけ、このままでいて」
彼の言うとおりにした。
生温かい体温と男臭い肌の匂い。
それらに五感が触発されたのか、ドキドキし始めた。
そして、さっきの台詞……
切なげな声と言葉が鍵となり、
脳の奥の蓋が開き、あるワンシーンが目の前に飛び出してきた。
“もう少しだけ、このままでいさせて”
観覧車の、ゴンドラの…中……?
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