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「そう…ですね」
さっきまでテンポよくなされていた会話は
まるでお見合いの席についた人みたいに
ぎくしゃくしたしゃべりに変わって…気まずい。
無言で歩き始めたけど、
「そうだ、部室裏にも用があったんだ」
常務が急に立ち止まって踵をかえす。
「部室裏?」
不思議に思いながらも彼の後に続いて小屋の裏側へまわると、
常務はネズミ色の壁に書かれた落書きを
一つ一つ丹念に調べている。
「確かこの辺だったんだけどな。
卒業記念に落書きしたんだが…」
「器物損壊はいけませんね」
「あほ、俺はおまえにそそのかされて
仕方なくつきあってやっただけだ」
「ええ!? そんな覚えはないけどな…」
あたしはさっきの気まずさをほぐすように
少しだけ大げさに驚いて見せる。
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