第8話

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常務は一通りくまなく探した後、 ため息を一つ吐いて壁から離れた。 「所々、壁が上塗りされてますね」 あたしも諦めて、左倣えする。   「落書きされてるのは新しいものばかりで、 古いものは――…消されてしまったんでしょうね」 少し、残念。 どんな文字が彫られていたのか、見たかったな。 グラウンドを離れ 自転車置き場へ向かうことにしたのだけど、  その途中、 学校指定のジャージを着た中学生の集団が現れた。 そして、その中に一人、 違う種類の紺のジャージを着た長身の中年男性がいて……  もしかして陸上部の顧問の… 「“白石先生!?”」 二人して、顔を見合わせた。 また、はもったから。  
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