第8話

27/37
前へ
/37ページ
次へ
そして、はっとした。 その反対に、自分の好きな人に忘れ去られるって どんなに辛い事だろうか。 常務はあたしに再会した時、 あたしの態度にどれだけ衝撃を受け、落胆しただろう。 そう思うと、あたしの血管は つまってしまったかもって思うほど 胸がきゅうっと痛くなった。 「いや、一度勤務先の学校が変わったんだが、 一年前にまたここに戻って来たんだ。  二人ともまだ時間あるんだろ? 職員室前で待っててくれ」 「はい」 白石先生は陸上部員達に声がけをして座らせ、 軽いミーティングを始めた。 あたし達は二階の職員室へと方向転換をし、歩き出す。 「そういえば中体連、たぶん、今日は一日目だよな。 ほんと、懐かしいな」 「そうですね」 靴を脱いで客用のスリッパを拝借し、階段を上る。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1677人が本棚に入れています
本棚に追加