第8話

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やがて缶ジュースを三つ持って戻ってきて 「飲め」 差し出され、受け取る。 「はい。いただきます」 先生は自分の座席に腰を落とし、自分のジュースは机の上に置いて、 その横にあった団扇を手に取り、大きく扇ぎ始めた。 常務は自分のジュースのプルリングをひいて それをあたしに渡し、 「あ…」 代わりにあたしが持っていたジュースを奪った。 あたしがプルリングをうまく開けられないこと、 知ってるんだ。 当然のようにされる自然な行為は どこからどう見ても“つきあってる二人”だ。 頬が火照ったのを知られたくなくて 不自然なまでに顔を下げ、 「…ありがと」 サイドの髪の毛で頬を隠した。
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