第8話

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「かわいい。 奥さん似ですね」 「新谷、校庭20周」 「げっ」 「外回りとどっちがいい?」 「どちらも遠慮します…」 この時、 あたしには、二人のおちゃらけた会話は耳に届いていなくて。 今までと少し違った目で、常務をじっと見つめていた。 15歳の常務は、そんなことを考えていたんだ。 この人は、本当にあたしのことが好きで、 しかも、あたしを思いやる気持ちを持っていて。 あたしの事を…、真剣に好いていてくれてたんだ。 そして、今も―――… そんなこんなで思わぬ形で過去の秘めた想いを知り、 感動に似た、ポワーとした気持ちが胸にこみ上げてきた。
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