第8話

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「来たね」 どう言っても言い訳でしかないけど、 「常務の為に行くわけではありません。  自分の為に行くんです」 意地っ張りなあたしは素直な言葉が出てこない。 「俺がわざわざ連れて行ってやるんだから、 その呼び方はやめろ。今日は“新谷”にしてくれ」 「でも…」 「大体、周りから注目浴びるだろ」 迷ったけど、確かにそれは一理ある。 しょうがない。  「わかりました。 新谷…さん、 どうぞよろしくお願いします」 常務は助手席のドアを開け、 「乗って」 あたしに乗るように促した。 「ありがとうございます」 乗り込むと、常務はシートベルトをひき、 かっちりと締めて。 助手席の肩に手を置いたのであたしは常務の方を向いた。
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