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「来たね」
どう言っても言い訳でしかないけど、
「常務の為に行くわけではありません。
自分の為に行くんです」
意地っ張りなあたしは素直な言葉が出てこない。
「俺がわざわざ連れて行ってやるんだから、
その呼び方はやめろ。今日は“新谷”にしてくれ」
「でも…」
「大体、周りから注目浴びるだろ」
迷ったけど、確かにそれは一理ある。
しょうがない。
「わかりました。 新谷…さん、
どうぞよろしくお願いします」
常務は助手席のドアを開け、
「乗って」
あたしに乗るように促した。
「ありがとうございます」
乗り込むと、常務はシートベルトをひき、
かっちりと締めて。
助手席の肩に手を置いたのであたしは常務の方を向いた。
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