第8話

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「それからもう一つ、敬語もなし。 いいな?」 「――…わかりました」 ふいっと顔を背ければ、それが気に入らなかったのか。 「その言い方、わかってないだろ?」 一つ、相手の顔が近づく。 「もう一度、やり直し」 またひとつ。 そしてまた…… 常務の顔が迫る度にあたしの脈拍も加速されていき、 「わかっ…たってばっ!」 この場から動けないあたしはついに白旗をあげる。 「それでいい」 危機一髪。 唇寸前でピタリと止まった。   「気難しい顔してるやつとドライブだなんて、 ごめんだからな」 常務があたしから離れ、クスッと笑ってドアを閉める。
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