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「それからもう一つ、敬語もなし。 いいな?」
「――…わかりました」
ふいっと顔を背ければ、それが気に入らなかったのか。
「その言い方、わかってないだろ?」
一つ、相手の顔が近づく。
「もう一度、やり直し」
またひとつ。 そしてまた……
常務の顔が迫る度にあたしの脈拍も加速されていき、
「わかっ…たってばっ!」
この場から動けないあたしはついに白旗をあげる。
「それでいい」
危機一髪。
唇寸前でピタリと止まった。
「気難しい顔してるやつとドライブだなんて、
ごめんだからな」
常務があたしから離れ、クスッと笑ってドアを閉める。
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