第1話

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年齢も見る限り同年代だと思う。 加えて、整った体型にナンパされてもおかしくない顔立ちもしている。 でも、初めて見る顔じゃない気がしたが、今は誤解を解くのが先だよね。 「や…あのですね、僕は…」 「焼く」 話ぐらい聞いて!? さっき同様拳に炎をたぎらせ、僕目掛けて火の玉を作り出す。 「…?、アンタ…」 僕は身構えていたが、女の子はその言葉を呟くと、上げていた腕を下ろした。 「な、なんですか…?」 「……」 手に纏った炎を振り消し、顎に手を当てて、訝しげに女の子は僕を凝視して来た。 どうやら向こうはこっちの事を知っている感じっぽい?。 「名前は…?」 「え?」 「アンタ、名前は?」 なぜ名前を、と思ったが、これ以上聞き返すと怒られると直感したため、素直に答える。 「えっと…、無雅 広斗(むがい ひろと)…ですけど…」 名前を答えると、彼女は少し俯き何かブツブツと言っているように見えた。 かく言う僕もまじまじと近くで見た彼女の顔には、見覚えがある。 この公園…昔…友達…火…別の学校…。 その瞬間、記憶と共に一番よく遊んだ知り合いの名前が浮かび上がった。 「まさか…、舞火…ちゃん?」 「広斗って、あの人畜無害の広斗…?ホントに?」 幼少の頃からよくこの公園で遊んだ友達。 中学の途中から、別の学校へと転校したあの娘…。 今目の前にいる彼女は間違いなくあの時の娘だ。 不知火 舞火 しらぬい まいか 火の属性を扱う気の強い。でも頼り甲斐のある友達。 出会いと別れは唐突と聞くけど、僕達は久しぶりの再会を懐かしの場所で果たすことが出来、互いに笑みを浮かべた。
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