第4話

《絶叫》
メガネをはずし、天を仰ぎ「フ――。」と溜め息をついた時だった。
「きゃあーーーーーーーーーーーーーー！」
女性の悲鳴が彼の耳に入ってきた。
「ドン。」と言う音を聞いた途端、あわててメガネを掛けその音の発信源に対して身を乗り出していた。
周辺の客達もその方向に注視していた。「女子校だ。」男がその事を認識するや否や。別の女性の悲鳴が聞こえた。今度はその悲鳴の主の姿を認識する形で更に身を乗り出し状況を確認した。
「ぐしゃー。」男は「飛び降り自殺」とはっきり認識した。２人目が飛び降りるまで僅か１０秒程の出来事だった。あっけに取られている間に３人目の女性の悲鳴が聞こえた。
学校の屋上にはまだ何人か人影が見えた。「沢山死ぬ。」男は思った。店の客達は皆立ち上がり学校の方を見ていた。
校舎の傍らには３人の生徒の死体が転がっていた。通行人も皆足を止めて見ている。
女子校以外の周辺と車の流れ以外の空間は時間がストップしていた。言いようの無い戦慄に包まれていた。そして誰もがどうしていいのか分からない状態だった。