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輪島は「ふーーーん。」と感心して友人の説を聞いていた。
輪島には9人の女学生が屋上から突き落とされて死んだようにしか思えなかったのだった。
しかし屋上には彼女たち以外には誰もいなかったのだ。
「それじゃ何故、分からない、俺の頭じゃ…」
そしてふと山下の事を思い出した。
「女子高生9人自殺事件」のミーティングは午前10:00から始まった。
単なる自殺か犯罪なのかが大きなテーマである。
捜査2課に今回の事件の対応が回って来た。捜査2課は課長が権田和男、大卒エリートの佐伯裕也、輪島と同期の大前健太、新人の天山五郎で、課長1名部下4名の体制だった。
課長の権田は痩せ型の48歳で考える時、眉間に皺を寄せるタイプだった。一見気難しそうに見えるが部下を上手く使う繊細な神経の持ち主だった。
会議室では権田を前に部下が2列に並んで座っていた。
「昨日の女子高校生の自殺事件で輪島君から状況の説明をしてもらう。輪島君。」
「はい!」大きな体を起こして前に進み出た。
権田課長の横に置かれたホワイトボードに現場平面図を描き説明した。そして現場で自殺を目撃した人からの事情聴取の結果も同時に報告した。山下から聞いた内容も含まれていた。
輪島の報告が終わり権田課長は一人一人に意見を聞いた。
「今の報告から9人の女学生は自殺したと言う見解が一般的だが他殺と言う可能性もなきにしもあらずだ。これに関して諸君の意見を聞きたい。」
権田はさっきから何か言いたげにしている輪島の心境を見抜いていたのか輪島に意見を求めた。
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