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輪島は「ふー。」と一呼吸してから話始めた。
「今回の事件私の見解では単なる自殺やないと思います。何故なら9人もの人間が一諸に自殺しようと意見があうかどうかです。もう一つは9人全て頭から悲鳴を上げながら飛び降りたと言う事です。それやったら彼女たちは恐怖を覚えながら自殺したという事になるわけです。そもそも集団自殺は倒錯の世界に入り込み、死が美しいものと錯覚して発生するものです。今回の彼女たちの飛び降りはとてもその倒錯世界に酔いしれていたとは思えへんのです。」
「じゃあ、何で彼女達は飛降りたのですか?」輪島が話し終えるや否や佐伯が質問した。
輪島は佐伯の方をちらりと目をやり、「そ、それは……」と固まってしまった。
心の中では「そんな事分かったら苦労するかえ、ボケ。」と叫んでいた。
「それなら佐伯君はどう思う?」権田は佐伯に意見を求めた。佐伯は澄ました顔で自信たっぷりに淡々と答えた。輪島はこの佐伯の自信たっぷりのすまし顔を見るたびに虫唾が走るのだった。そう一段上に立ってものを言っているようにしか輪島の目には写らないのだ。特に自分に対しては意識的に上に立ってものを言っているように受け取れてしまう。
「彼女達が恐怖を感じて自殺したと言うのは理に叶っていないと思います。何故なら順に一人一人飛び降りたならば、一人が飛び降りた時点で足がすくみます。また第三者に突き落とされたとしても恐怖を感じて次々と飛び降りる事は出来ません。彼女達の発した奇声は人目を引くためにわざと発したものだと思います。では、何が彼女達をそうさせたのかですが、私の見解では犯人がいます。それも犯人は一人で9人の女子高生に催眠を掛けたものと推測されます。それも終礼のベルが鳴ったら屋上に行き自殺すると言うように。次に犯人の動機ですが、犯人は今回事件のステージとなったこの学校に恨みを抱いているものと推測されます。
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