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そして今回の事件で学校の品位が著しく落とされる事を目的としていたのだと思います。付け加えて今回の犯人はこの女子校の卒業生で、彼女達の一人とは親しい関係にあったと思われますので。年齢は20代、性別は女性で性格は極めて狂暴、しかし冷淡、表向きは控えめな優等生であったと推測されます。」権田課長、輪島以外の2名も佐伯の理路整然とした論理に頷いて聞いていた。そして今回も輪島は佐伯を引き立てる道化になっていた。
輪島は佐伯の発言の後やや肩を落し気味に自分席に戻った。権田は他の2名にも意見を聞いた。
天山はカルト教団に入信したためと答え。大前は今はやりの自殺サイトで催眠に掛けられたと、佐伯の意見と多少ラップするのも知りつつ自殺サイトについて延々と語った。大前がいるおかげで輪島が目出たない。権田課長は今まで発表された意見の内どれが一番優れているかも一切言わず。4人発表した方向性で各々捜査をするよう命じた。その言葉に対して最も不満だったのが佐伯だったが、賢い彼はその事に対して主張もしなかった。
輪島の父親も輪島と同様刑事だったが殉職した。輪島が小学生の時だった。父親は直感捜査の輪島と異名を取った程の刑事で輪島は父親の事を尊敬していた。
「自分の直感を大事にしろよ。」と言う言葉は今でも輪島の耳に残っている。
現場の声を大事にする輪島は彼女たちが何者かの圧力によってやむなく飛び降りたものだと思ったのである。理詰めで問題を解決することが最善であると思っている佐伯とは考えが合うわけが無い。捜査はあくまで事実を掴む事である。道理で人の罪を左右するのは弁護士や検事だけで沢山だ。道理が成立するからおまえが犯人だとするのは余りに無責任な話だと思っている。
一度2課のメンバーで佐伯の歓迎会と言う事で飲み会が行われた。その日輪島は佐伯の隣に座っていた。酔って良い気分になってしまい。皆の前で自分の父親の自慢話をしてしまった。そして捜査には直感が大切である事を強調した。暫くおとなしく聞いていた佐伯だったが、直感なんてものは結局過去の経験の積み重ねに他ならないと、医学的に論理的に解説した。
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