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玄関へ続く廊下の壁に掛けてある、文字盤の大きな時計を見ると、まだ夜も21時を回ったところであった。
そして、ふっ、と視線を玄関にむけると‥
「‥ん?」
‥見たことのない本だ。
脱ぎ散らかされた靴に紛れて、まだ新しそうな薄い絵本が落ちていた。
それを拾いあげ、リビングへ向かう。
「こんな本あったっけ‥?保育園から持ってきちゃったのかな」
紫の濃い表紙に、
[つ づ き]
と書かれている。
「つづき‥?」
急に寒気がしてきた。
そして言いようのない不安が押し寄せてくる。
ページをめくると、すぐに大きな女の子の絵が目に飛び込んできた。
左のページには小さな文字で、
[しあわせにくらした
おうじさまとおひめさまは
そのあと
どうなったの?]
と、書かれている。
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