第7話

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山下が電話に出ると「もしもし警察ですが。」と威嚇気味な声色で言った。 昔、子供の頃親しい友人に電話するときは何時も「警察ですが。」と冗談でやったが、今回は冗談では済まされない。 すぐさま「ははは、輪島です。どうも。」と改めた。 山下は「どうしました刑事さん。」とこちらもフランクに対応した。 「実は先日の9人女子高生自殺事件の件で相談したい事がありまして、もうしわけ無いですがお時間を取って貰えないでしょうか。」と防犯ビデオのチェックもお願いするのだから当然だろうが、低姿勢が伝わる口調で言った。 「良いですよ。」山下は快諾した。勿論山下としてもあの悲惨な記憶は早く消し去りたいが、彼女たちの自殺の不自然さを山下も感じていたし、遺族に対してのせめてもの心配りでもあった。待ち合わせはの日の午後3:00で場所は輪島の希望であのムーンライトカフェになった。 翌日、山下は約束の時間にムーンライトカフェに行くとの輪島は店内奥ソファータイプの席に深深と腰掛けて腕組をし、外の景色を眺めていた。 「輪島さん。」と一声かけて輪島の前に立った。輪島はとても恐縮した様子で、 「これはこれは、本日は御呼び出てして申し訳ないです。」と言い山下を自分の前に座らせた後、「アイスコーヒーで良いですか。」と尋ね、山下が「はい。」と答えると、巨体を揺するように注文カウンターに行きアイスコーヒーを片手に戻ってきて、目の前にそれを置いた。 「どうもすみません。」と山下が礼を言うと。 「いえいえ、御忙しいのに御呼び出してしまい。申し訳ないです。」と社交辞令を交わし、早速本論にはいり今まで捜査のいきさつを話しはじめた。
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