第7話

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「それは、防犯カメラをチェックしてどうも附に落ちない事が有りまして。ビデオに唯さんが大部屋に来た瞬間が記録されているのですが、別に何も彼女を脅かすものは無いのに、唯さんはまるでとんでもない恐ろしいものを目撃したかのように逃げるように立ち去り、その後彼女達は唯が立ち去ったにも拘わらず席を一つだけずーと空けているのです。ビデオに何かあるものだと一生懸命チェックしているのですがわからない。山下さんにも見て頂きたいのですが…・。」 「いいですよ。私でよければ、余り期待しないようにお願いします。」すかさず山下は返した。「いやー心強い。明日2時に署に来て頂けませんか。」 「分かりましました。」 「輪島さんも大変ですね、実は私も行き詰まっているのですよ。」 山下はそう言うと腕組をしてソファーにもたれた。 「どうしたんですか。」 「いやー、全く手掛かりの無い人探しなんですよね。」 山下は2週間前に事務所に届いた依頼の手紙の事を打ち明けた。 輪島はまじめな顔で 「私が思うに今回の自殺事件に絡んでいるかな。」 「ははは。もっと協力すればいいという事でしょうか。そうだと面白いかもしれないですね。」 山下は一瞬笑ったが輪島の真剣な表情を見て姿勢を正し座り直した。 二人が話し終えても外はまだ明るかった。輪島は事件現場を見据えながら、山下はその場を避けるかのげるかのようにムーンライトカフェを後にした。 翌日山下が署に訪れ問題のビデオをチェックした。輪島の言う通りの流れで誰が見ても不自然だ。一つだけ空けられていたと言う席の反対側は鏡張りだった。山下はメガネを掛け直しを鏡に映ったものを目を凝らしてチェックした。「輪島さん。これ」山下はある所でビデオを止めその部分を指摘した。足の無い少女らしき白い影がほんの一瞬鏡に映っていた。
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