第7話

7/9
前へ
/9ページ
次へ
「この部屋にもう一人いたのですね。もしそれが今回の災いの根元だとしたら、逮捕できないですね。」「こうして鏡に映っているが実態が無いのでは……。」輪島はなんとも言えない顔をして聞いていた。しかし、ここでの二人の共通点は幽霊でも化物でもその存在を否定しないと言うことだった。ただ違うのは、輪島ならば例え今八又之大蛇が出ても自ら退治しようと言う豪傑肌で、山下は法治国家日本の役割分担的割きりで世間は評価するだろうと言う覚めた見解だった。 すなわち化け物退治でも猛獣や恐竜の類なら世間は認めても、安部清明の如き妖怪退治を認める事はないだろうと言うことだった。今回は迷宮入りだと山下は半ば諦め加減だ。しかし輪島は 「いや、絶対正体暴いたるで。」と闘志満々だった。逆に山下は今回の事件には余り深入りしないほうが良いかもと消極的だった。 その日輪島は捜査の手を緩めること無く事件現場の女子校の事情聴取に余念が無かった。しかし、手掛かりになる要素は見出せなかった。かくなる上は唯にもう一度会い、サイトの事、あの時カラオケ店で目撃したものを聞くしかない。 次の日10:00位に輪島は唯の家へ天山と訪れた。その日も母親が対応してくれた。しかし唯は入院しているという。 自殺事件以来食事も摂らず日に日に体が衰えて来たからだと言う。母親から入院している病院名を聞き出したが。母親はなるべく唯をそっとして欲しいと頼んだ。もう終わってしまった事なのだから唯の母親の気持ちも良く分かる。しかし輪島の正義感は9人の犠牲を放っておくことは出来なかった。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加