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「ねぇ……祥子?」
「な、何?」
私のお腹に手を回して、肩に顔を埋める佳祐。
こんな甘えるような彼を見たことがなくて戸惑う。
「祥子は幸せになりたくない?」
「な、何言ってんの!?今でも十分幸せだけど?」
お腹の手に込められる力が強くなる。
「それは、最上級?」
「い、意味が分かんないんだけどっ」
バカみたいに心臓の鼓動が速くなって息が詰まる。
付き合って4年目にもなれば、それなりの触れ合いもあって、恥ずかしがるようなことは無いはずなのに初心者並みにテンパっている。
「けっ、佳祐?」
黙りこんでしまった彼に呼び掛けると、肩に乗せられた頭が微かに動いた。
「俺と……結婚してくれませんか?」
全身が震えて、目の奥が熱くなる。
熱のせいで言葉が出なくて唇が震えた。
「返事……聞かせて?」
目すら合わせられない状況で上手く整理できない。
彼に対して何の不満も無い。
大切な人だ。
なのに私の口から出たのは信じがたい言葉だった。
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