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そういった様々な思惑に背を押される形で、未成熟な通信網しか持たず、しかも互いに角突き合わせているという状態にも関わらず、ザサイラム王国の崩壊の一週間後にはザサイラムへ調査隊が派遣される事が決定された。さらにその二週間後、ザサイラムの崩壊からおよそ一月が経った頃には、ザサイラムに最も近い小国、コルムルに、各国の部隊とアルデハルの精神的支柱であるダーメル教の司祭達が集まった。
しかし、調査隊とともにコルムルは滅びた。調査隊の編成後直ぐに、各国に送られてきた近隣の様子と、人ならざる者のの襲撃の危険性を訴える者がいるという報告を最後に、あまりにも長い間連絡のない事を不審に思ったコルムルの隣国の大国サルメア王国の派遣した部隊が。調査に向かった結果、判明した事実だった。そして、そこでサルメアの兵士たちは、人ならざる者共が、かつてのコルムルの地に、要塞を築きつつある光景を目にする事になった。
コルムルの滅亡から遡る事三週間。ザサイラムの滅亡の翌日の事。死の大地と化したザサイラムからの脱出に成功したクリスティンは、道中で気を失ってしまった少女を背負い、街道から外れた森の中を進んでいた。取るものも取り敢えず、あの災厄から逃げ延びたため、クリスティンは帯剣していなかった。少女も、一週間の間牢に繋がれ、酷い扱いを受けていた為、武器の類いは身に付けていないし、極度に衰弱してもいた。
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