作中書籍まとめ

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Ⅰ資料(老人の日記60年前)本編p38 ――……彼らの特徴と言えば、大したものはないのだが、不自然な痣だ。それも、時間がたてば消えてしまった。  彼らは、別の世界から来たと言う。であるのに、使う言語も文字も同じなのだ。不思議である。  その世界には、魔法がなく、戦いでは鉄の塊に人が乗り込み戦うのだという。  聞くに、それは最近普及してきた機械に近いが、我々の今の技術では到底及ばないであろう。  彼らの1人が、持っていた“テープレコーダー”なるものは興味深い。魔法を使うわけでもなしに、ボタンを押せば、楽器の演奏と共に女の歌声が流れてくるのだ。  彼らとはもっと話したかった。戦争が終わり、子供たちには辛い経験をさせずに済む。と気持ちよく笑う者達だった。  だが、国王に招かれていると言い、去ってしまった。 そういえば、彼らはどのようにして世界を渡ったのだろう?迷い込んだのだ、としか言わなかったのだ。 ――私は、図書館を訪ねた。その資料を探す為である。  すると、ちょうど300百年前にも、彼らの様な人々が、この世界に呼び込まれていたという。  彼らは、現在は“悪王”として語り継がれる、ザレム王の国王軍に、この世界に足を踏み入れてすぐ、捕らえられたそうだ。彼らのうちの知識のある者は、毎日鞭を振るわれながら、彼らの故郷の知恵を寝ずに書く事を、それ以外の者は非道な人体実験を強いられたらしい。  捕らえられる瞬間、彼らは彼らを呼び込んだ人物の名を、しきりに叫んでいたという。  私は、それを読んだ瞬間、自らの目を疑った。何故なら、彼らを呼び込んだ人物とは――
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