第四夜-斬り裂け、彗星-

11/12
30人が本棚に入れています
本棚に追加
/135ページ
「──団長、よく覚えていたね」 「あぁ。今でもあの光景が鮮明にフラッシュバックするんだ。あのあざ笑う笑顔と────が」 廊下を歩いているとそんな会話が聞こえてくる(恐らくドロッチェの部屋からだろう)。スピンは扉に耳をつけ話を聞くことにした。 (相手は、ストロン?) しかあり得ないだろう。ドクはメタナイトと話をしにいったみたいだし、ドロシアは先程見た。消去法で彼になる。 「星座に飲み込まれた時、どんな感じ?」 (星座に飲み込まれた?) 「……先程の光景が見えた。あざ笑う人物と全滅した俺達が。それだけじゃない、その人物は『カードをわざとばら撒き、星座達を実体化させ俺達と戦わせた』」 「…という事はアレだ。今回は故意にやった行為だと、団長は言いたいんだね。団長がコメットに対し目を逸らしたのは『彼がその人物』に似ていたからかな?」 (!!) スピンは驚きの表情を浮かべる。このまま続きを聞いていたかったが丁度バンダナが部屋を出て、こちらに向かってきているのが見えた為扉から耳を離した。 「スピンおかえりなさい! …どうしたの?」 バンダナが珍しく敬語ではない。本人曰く『共に修行していくうちに敬語がとれた』とか。 「いや、その…何でもないッチュよ、それより修行に行くッチュ! 今日こそ負けないッチュよバンダナ!」 「う、うん」 バンダナを連れその場を後にするスピン。その際少しだけ後ろを振り向き、扉を見つめたのだった。
/135ページ

最初のコメントを投稿しよう!