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 肌寒さを感じる10月、私は彼と出会った。 新しいアルバイトを始めて3ヶ月。時給が850円に上がったばかりだった。  原付きバイクで、国道沿いに位置するアルバイト先まで10分。 駐車場から店の裏手に回り、バイクを止めて中に入った。 裏口からすぐ右手に、従業員の休憩室がある。 休憩室には、すでに梶さんがいて、私に気付くと、 「あ、おはよう、かとちゃん」 と、笑った。 梶さんは、二人の子をもつ主婦で、週4日、パートタイマーとして働いている。 他にもパートで働いている主婦がたくさんいたが、私は特に梶さんが好きだった。 シフトがほぼ同じなことも、早く親密になった理由のひとつだろう。 が、私は彼女のあっけらかんとしているところに惹かれている。 上着を脱ぎ、白いポロシャツの上に濃緑のエプロンをつける。 髪を後ろにひとつ括りしているときに、梶さんが「お先にー」と言って休憩室を出て行った。 私は、準備のペースをあげて、最後に姿見で全身をチェックする。 エプロンの紐が捻れていないか、髪はまとまっているか。 爪は短いか、服装は指定された格好か。 朝礼前に、細かいチェックがあり、それに合格をもらえなければタイムカードを押すことができないのだ。 準備を終え、休憩室の電気を消して鍵をしめる。 カウンターまで行き、挨拶をし、チェックをしてもらってタイムカードを押す。 慣れてきた一連の動作を済ますと、私は今日の日程を確認した。 .
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