初めての依頼

9/16

2012人が本棚に入れています
本棚に追加
/291ページ
さて、ここで状況を整理しよう。 俺はさっきの噛みつきの時に身体から振り落とされて地面に着地、振り出しに戻った感じだ。 一方のヤマタノオロチは炎を纏った拳で殴ったからか所々黒ずんでいる部位があるが致命傷となる傷はないし、これだけ魔力吸収して殴ってるにも関わらず未だに確かな手応えがない。 状況としては五分五分、自分の体力がまだまだ残ってる点を加味すれば俺が六分で優勢って感じだな。 「まだまだ気は抜けないな。気を抜いたら一瞬で持っていかれる」 でもこのギリギリの緊張感がたまらない。 この為だけに生きていると言っても過言はない。 だってこの瞬間こそ生きている実感を強烈に感じられるのだから。 テンションが上がって来たのを感じた時、拳の炎がより赤く燃え上がっていた。 そしてそれが拳のみならず身体を覆い尽くしている。 確信する。この炎ならいける。 ブレスや噛みつきの事など何も考えず奴に向かって駆け出す。 8つの頭の攻撃を身体が自然と躱し、胴体に向けて跳躍。 渾身の力を込めて胴体に真っ赤に燃え上がる拳を叩き込む。 そして拳に伝わる確かな手応え。 俺の何倍もの大きさがある奴の身体が揺らいだのを見逃さない。 「これで終わりだ!!」 奴の身体に乗り、下に打ちつけるように拳を振り下ろすと魔力で浮いていた身体が遂に地に落ちた。
/291ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2012人が本棚に入れています
本棚に追加