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伝えたい。
初めての練習試合。誠凛高校バスケ部は去年出来たばかりの新設部にも関わらず、東京都ベスト4までいった強豪校。1年生だけでそこまでいけたのだから尊敬する。
「おはようございます。」
「おはよう。今日も気合いいれて行くわよ!」
カントクはいつも元気だ。
「おし!じゃあ行くぞ!」
日向先輩のかけ声で学校を出る。これから黄瀬君のいる海常高校に向かう。
「火神君…くまがすごいですよ。」
「寝てねぇんだよ!」
「遠足前の小学生ですか?」
火神君は不機嫌そうにボクを睨む。
「うるせぇな…」
ボクは少し悲しくなった。言う事は普段通りだからいい。それにこんな事で嫌われる筈ない、そう思っていたけど、さっきのあの目は…ボクを嫌っているような目だ。そんな気がした。
謝らなくちゃ駄目だ。
「火神君…すいません。」
「あ?…え、今の怖かったか?」
「睨んでるように見えて…」
「そっか…俺、寝不足の時目つき悪いんだ。わりぃ…でも、小学生じゃねぇ!」
良かった。火神君はやっぱり優しい。
「火神君…ボク本当に火神君が大好きです。」
わざと小声でそう呟いた。
「あ?」
「何でもありません。」
───黄瀬君との試合。前半でボクは頭を怪我をして出られなくなった。勢いにのっていたのに、その勢いにブレーキをかけてしまった。
「黒子がいなくても何とか勝つんだ!」
先輩達の声。
「黒子っ…!大丈夫かよ…」
火神君の焦った声。
「火神君…ボクは少し休んだらまた必ず出ます。」
「無茶すんなって!」
「大丈夫ですよ。それに約束したじゃないですか。力を合わせて勝つと。」
「…黒子。」
「…はい。」
「…俺はコートでお前を待ってる。」
そして第4Q、ボクは頭に包帯をした状態で復活した。
───「試合終了!100対98で、誠凛!」
……勝った。格上の筈の相手、しかも黄瀬君までいる全国大会常連の海常高校に勝った。
試合後、ボクは黄瀬君に呼ばれた。
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