32人が本棚に入れています
本棚に追加
/43ページ
ボクらの初めて。
(目線:黒子テツヤ)
インターハイ予選が近づいてくる。
この前の海常高校との練習試合の時、火神君との連携プレーで見事勝利した。あの日以来、ボクと火神君は連携プレーの種類を増やしたりして、一緒に朝の自主練もしていた。
「火神君…そろそろ休憩しませんか?もう体力が…もちません…」
いつも火神君は疲れるまでやるけど、ボクとの体力の差がありすぎていつもボクが先にへばる。
「んだよ黒子…もう終わりか?」
ボクの本気はこれなのに。
「火神君にはまだついていけないですね……」
すると火神君がボクのことを優しく撫でる。くしゃくしゃとされた髪の毛はボクの寝癖をより一層目立たせた。
「お前…可愛いな。」
「………え…!?」
驚いた。まさかそんな事を言われるなんて。
「お前が俺についてこようとしてるのが伝わってきて…そういうところが可愛いな…ってな。ヘヘッ、なんかちょっとはずいな…」
「火神君…ボク、火神君と全国大会に出て優勝したいです。」
「じゃ、まずはインターハイだな!」
「はい。」
───インターハイ予選。僕らの最初の相手は新協学園。
お父さんは身長2m越え。大型のセンターだった。手強い。
しかし、火神君は跳ぶ度にどんどん高くなって、お父さん達新協学園を圧倒する。
結果は勝利。
───「火神君、凄いです!」
試合後、火神君と駅沿いを歩いていた。
「黒子のおかげだよ。」
「え?」
「お前がいたからあそこまで戦えた。」
「火神君…」
「サンキュ!黒子!」
「……そんな事ないですよ。火神君は本当に凄いです。」
すると火神君はボクの額にキスした。
みるみる赤くなっていくボクの顔。
「火神…君…今…人いましたよ…」
「うぇぇ?!…やっちまった。」
天然なんだ…
火神君は恥ずかしそうにボクを見つめた。
「黒子…我慢出来ねぇ。」
「はい?」
我慢?何を?もしかしてトイレとか?
ボクがそう思ったのも束の間、何故か火神君が向かったのは誠凛高校の部室だった。何故か閉まっていない窓がひとつあり、そこから部室に忍び込む。辺りが少しオレンジ色に染まってきたころだった。
「火神君…?バスケ部の部室じゃないですよね?」
「いいんだよ。2人きりになれるとこでいいんだ。」
最初のコメントを投稿しよう!