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(目線:黒子テツヤ)
突然過ぎて火神君が何を言っているのか理解するのにかなりの時間を要した。
「そんな…降旗君にはなんとかごまかせばいいじゃないですか。」
「俺が好きって言ったこと…忘れてくれ。もうこんな関係は止めよう。」
ボクは思い込んでいたのかもしれない。
火神君だって関係ない。
男なんだ。ボクも火神君も。
そうだよ。駄目なんだ。
忘れよう。
………
無理だ!
「火神君!」
「……」
「急に忘れる事なんか出来ません!ボク…火神君が好きなんです…大好きなんですよ?今までの事、なかったことになんて出来ない!」
「ありがとな。黒子。俺だってホントは黒子とずっと一緒にいたいよ。」
火神君…
「ならこのままで…
「でも駄目なんだ。周りは俺らを受け入れられない。降だってそうだと思う。今の時点でごまかせても、この先いつか必ずぼろが出る。男同士ってのはそんな簡単なもんじゃねぇよ。」
「でも…」
「俺らはバスケやってりゃいいんだよ。青春って感じだろ?」
火神君はきっと今後の事も考えてる。ボク達の目標はインターハイ。でもボクは火神君といたいという一時の感情に流されていたのかもしれない。
……でも。
「たとえ、周りに受け入れられなくてもいいんです。どんなに嫌われようとボクは今この時を、この高校生という時期に、火神君と過ごしたい。火神君とたわいもない話で笑いあいたい。恋人として、一緒にいたいんです!好きな気持ちは、同性愛だからって我慢しなくちゃならないんですか?」
「黒子……」
「同性愛者が周り気にしてたら恋愛なんか出来ませんよ。……火神君…それでも駄目ですか?」
「俺は…黒子…お前が好きだ。大好きなんだ。」
火神君がボクの頭を撫でる。
「でもわりぃ…時間くれ…少しだけでいい。俺と距離とって考えよう。お互い本当に好きなのかを。」
「ボクの気持ちが変わるわけないじゃないですか。」
「ははっ。そうかもな。」
火神君がまたボクの頭をくしゃくしゃする。
火神君の手は暖かかった。
「少しでも火神君と離れるのは辛いんです。でも、ずっとじゃないなら、待ちますよ。」
「サンキューな。黒子。」
同性愛は世の中に受け入れられない。それでもボク達は負けない。ボク達が生きたいように生きればいいのだから。
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