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───高校へ帰ると、カントクが待ちかまえていた。
俺は頭をぶったたかれて、逆立ちで走らされた。
「火神君。」
「うおぁ!黒子…。」
「どこ行ってたんですか?」
「いや…ちょっとな。」
「何があったんですか?」
俺は逆立ちをやめて体を戻す。
「青峰に…あった。」
「青峰君に…」
「黒子…青峰の事、好きだったんだな。」
「違います。」
「……」
なんで嘘つくんだ。
「じゃあ、青峰には嘘ついてたのか?」
「え…」
「青峰から全部聞いた。」
俺は青峰から聞いた事を全て話した。
「青峰君に好きと言えって言われて…キスもしてくれって言われて…自分からしただけです。」
「好きでもないやつに自分からキスするか?」
「それは…
「俺はお前を信用出来ない気がする。」
「火神君…
「青峰に言われた。黒子と一緒に過ごした時間は俺より長いって。それに、俺はお前を名前で呼んだ事はないし、呼ばれた事もない。…俺、お前を信用していいのか?」
「火神君…信用して下さい。ボクは…
「名前で呼べよ。」
「え…」
「青峰にしてきたこと全部俺にしてくれよ。」
「火神君…」
「俺のものでいてくれよ!」
我に帰る。
「……………ごめん。」
目尻が熱い。泣いてんのか?俺。
「大我。」
「く…黒子…?」
「大我。ボクの事、名前で呼んで下さい。」
黒子が俺の涙を拭う。
「テ…ツヤ…」
「もっと呼んで下さい。」
「テツヤ…テツヤ…好きだ。」
「愛してますよ。大我。」
なんだろう。この気持ちは。
俺は黒子に我慢させたり、嫌われるような事してたも同然なのに、今更嫉妬なんておかしい。
黒子は俺に触れただけで顔を赤くするようなやつなのに、そんなやつをなんで俺はうたがってたんだろう。
───「黒子…青峰とは…どういう関係なんだ?お前の言ってる事とあいつの言ってる事が噛み合わなくて…」
「付き合ったのは青峰君が大切な人だったからです。でも半分脅されていたんですけどね。大切な人ならキスくらいいいかなと…若気の至りですね…」
なるほどな。
もう黒子を疑うのは止めよう。
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