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(目線:黒子テツヤ)
「次は青峰君達桐皇学園とですね。」
「おう。青峰は強い。」
「そうですね。強いです。彼が一番最初にあの圧倒的な力を自分のものにしました。」
ボクは青峰君を変えたい。バスケが楽しくない、そんな風に思ってしまうのは青峰君じゃない。
ボクは昔の青峰君が好きだ。勿論友達として。青峰君が笑顔で、バスケを楽しんでしてる姿をまた見たい。
「絶対勝ちましょう!」
「おう!さくっと勝って、目ぇ覚ましてやらぁ!」
ボク達は拳を合わせた。
───桐皇戦。青峰君は前半、出場はおろかベンチにもいなかった。
「あいつ…なめてんのかよ…」
火神君の足も回復して、今日はみんな万全の状態で試合に臨む。
「青峰君がいない分、今ここで点差を広げましょう。」
しかし、そんな考えは通用しなかった。青峰君がいないという大きなハンデも、もはやハンデとは言い難い。
点差は開く。誠凛は力の差を見せつけられた。
前半終了間際、青峰君が登場。とても手を抜いていて青峰君のスピードとは程遠いものだった。
「火神君…青峰君は全く本気でやっていません。あんなスピードは、青峰君のスピードじゃない。遅すぎます。」
「あれでも手一杯だっつうのに、まだ早いのか。」
「2人で頑張りましょう。」
「……ああ。」
…?少しの沈黙はなんだったんだろうか。
青峰君は後半、火神君じゃ全く相手にならないスピードでボク達を圧倒した。
点差は開いた。
無情にも。
───「112-55、桐皇学園!」
負けた。
圧倒的な力の差。
能力の差。
エースの実力の差。
ボクは、涙が出なかった。
───火神君が控え室のロッカーを拳で叩く。
悔しさが滲み出ていた。
───控え室からみんなが出て、火神君とボクは2人きりになった。
控え室には沈黙が続く。
───火神君がその沈黙を破った。
「なあ、圧倒的な力の前では、力を合わせるだけじゃ駄目なんじゃねぇのか。」
「え…」
そう言うと火神君はかばんを肩にかけて控え室を出る。
後の2試合、ボク達はどうすればいいんだろうか。
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