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───夏合宿を終え、2日間の完全休養が与えられた。
火神君に会いたい…でも今はそれどころではなかった。
降旗君を呼び出した。
───降旗君の目は完全にボクを嫌っている目で、変に緊張が走る。
「で、なんだよ黒子。こんなとこに呼び出して。」
小さな喫茶店。高校の近くの店に呼んだ。
ボクが知る限り、降旗君は学校から家が近い。だからそれくらいの配慮が最低限必要だと思った。
「ボクは降旗君ときちんと向き合いたいんです。あの時は、嘘ついてごまかして本当にすみませんでした。」
「別に…いい。謝ったって変わんないよ。俺は認めたくないんだ。」
なぜ?
どうして?
このまま降旗君と……
こんな関係のままは嫌だ。
なのに……
「ボクは嫌です。降旗君とこんな……なのになんで……降旗君はいいんですか……?」
「いい。俺は黒子、お前が嫌いだ。」
「え?嫌いって……じゃあ……ボクが嘘ついたの……
「違う。俺がムカついてるのは黒子が嘘ついた事じゃない。黒子が火神といる事なんだ。こればかりは無理だろ?俺……」
降旗君が深呼吸をする。
「火神の事が好きなんだ。だから俺にとって黒子は邪魔…なんだ。」
降旗君が
火神君を好き?
そんな…事…
「だってあの時…ボクを見て若干ひいてませんでしたか?」
「ひいたんじゃない。焦ったんだ。黒子が妙に火神と仲良くてさ。……ごめん。だから認めたくないし認めらんないよ。黒子の事も好きになれないと思う。それに…やけになってたけど、どうせ俺がお前らの事認めなくても、別れたりはないんだろ?」
「……はい」
「これ以上話すと俺、お前に殴りかかりそうだ。もう帰る。じゃあな。」
降旗君が立ち上がる。その手を掴んだ。
「降旗君、待って下さい。」
「なんだよ。」
「気が済むまで、この手でボクを殴って下さい。」
「はあ?無理だよ。だってお前もし学校で見られたら…
「大丈夫です。ごまかせる理由あるので。」
「なんでそこまで……」
「ボクは降旗君に嫌われたくない。ボクは降旗君を失いたくないんです。」
「………」
降旗君はボクに掴まれた手をじっと見つめる。
そしてボクの顔を見た。
でも降旗君はボクを殴ったりはしなかった。
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