記憶Ⅱ ~透の場合~

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もう何年前の話なんだよ。 この部屋があの頃と何も変わらずに残っていたせいかな。 いつまで日本にいるかもわからないからと実家に戻ったけど、やはりここは思い出が多すぎる。 ベッドに横たわって天井を眺めると、あの頃よくぶつけて叱られた野球のボールの後が残っていた。 「お兄ちゃん!」 ノックもせずにいきなり入ってきたのは妹の沙織。 「おい、急になんだよ」 相変わらずな沙織に飛び起きた。 珍しく感傷に浸っていたっていうのに。 .
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