記憶Ⅱ ~透の場合~

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それから毎日のように久保田さんたちの恋バナは続いた。 初めて友達と笑いながら話しているところを見たとか。 妊婦さんに席を譲っていたとか。 そいつのいい人情報だけが耳につく。 隣の席だから仕方ないけど、正直きついよ。 「そいつそんなにいい奴なの?」 いっそ告白して玉砕してしまおうかなんて思いながら、彼女が嬉しそうに話をしているのをひたすら眺める。 そのえくぼを消したくなくて。 「うん」 .
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