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しくじった。しくじった。しくじった。
僕のせいだ。僕が殺した。僕が。
ピーーーーーーーーーーーーー
真っ暗な空間にスポットライトが照らされた。すぐ目の前に映る手術台。硬直したままの自分がそこに立ち竦む。
少女の小さい身体から細かい管がいくつも出ている。緑の布に覆われ、機器の音が鳴り響く。
開いたままの胸からは大量の血が止め処なく溢れる。周りの医師が慌しく動く中、手術用手袋をした自分の手だけが感覚を取り戻した。
小刻みに震える、血がべっとりと付いた両手を顔の前に持ってくる。目がどこを見ていいのか分からず、ぼんやりその手を眺める。
しくじった。しくじった。しくじった。
僕のせいだ。僕が殺した。僕が。
零れる涙は手袋の血を洗い流し、真っ暗な床へと吸い込まれていく。
そうだ。
これは夢なんかじゃない。
事故なんかじゃない。
僕が彼女を殺したんだ。
止めらない嗚咽の後、腫れた目で少女の顔を見た。動かない筈の彼女が突然、こちらを向いて目を開き、口を動かした。
――ヒトゴロシ――
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