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「あなたが私を酷いと罵るのは勝手だけどこれが現状よ。言い方は悪くても、少なくとも私は間違った事は言ってないわ。分かったなら、あなたも早く仕事に戻りなさい」
一ノ宮はそう言い放ち、仮眠室を出た。
ガチャッという音にただ反応するだけの神戸の近くに澤見は行き、しゃがんだ。
「‥‥‥だからって、酷い‥‥‥」
「‥‥‥‥‥ないている、の‥‥です‥‥か?」
澤見の耳元に微かな声がした。
下を向き覆っていた手を素早く退けて顔を上げた。布団の隙間から神戸はこちらを覗いている。
「‥‥かんべ‥‥せ‥‥」
声にならずに澤見の目からは涙が流れた。
「ぼくが‥‥いるから‥‥みんな‥‥‥ぼくが‥‥わるい‥‥‥‥」
澤見は必死に顔を横に振ったが、涙で声は出なかった。
「す‥‥み、ませ‥‥ん。す、み‥‥ま‥‥せん‥‥‥」
ただひたすら謝る神戸の微かな声だけが聞こえた。
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