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またしても強引に私の手を引いて、今度は校舎の中、私たちの教室のある二階ではなくさらに上の階、しかも別の棟へと向かう私たち。
彼は少し強引だったけど、それでも悪い気がしないのは気になってる証拠なのかもしれない。
専門的な教室が並ぶその棟には、授業でもなければほとんど人が来ない場所である。
そんな棟の一室、あまり馴染みのない小部屋へと連れ込まれた私は急に心細くなった。
駿と出会ったのは高校に入ってから。
それから学校でこそ話はするけど、プライベートで遊んだ事はもちろんないし、そこまで深い話をする関係でもない。
あくまで私たちは、『ただのクラスメート』という関係なんだ。
つまり私は駿の事をそれほどよく知っている訳じゃない。
そんな駿に連れてこられた人気の少ない棟の誰もいない小部屋、そこには今私と駿の二人だけ。
色んな想像が頭の中をぐるぐると駆け巡ってしまうのは私の考え過ぎだろうか。
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