第2話 二つのユメ

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私は高校生になって一人暮らしを始めた。 私の地元はひどく山奥の農村で、高校が近くにない。 だからこうやって一人暮らしをする事になった。 お父さんとお母さんはもうこの世にはいない。 私をここまで育ててくれたのはお爺ちゃんとお婆ちゃんだった。 本当は高校へ行くのもお婆ちゃん達の負担になるから躊躇っていたのだけど、二人がどうしても高校へ行けと言っていたので私はそれに甘える事にした。 とはいえ、仕送りでの生活をさせてもらってるくせにバイト一つしていない私は本当に自分に甘い人間なんだとつくずく思っている。 しようしようとは考えてはいるんだけど、それを実行しようとしないのは私の悪い性質。 結局一年とちょっと、バイトをする事なく時間が呆気なく過ぎ去っていった。 そんな性格の私が一人暮らししたらどうなるのかなんて、自分でもよくわかっていた。 もちろんその通りの惨状がこの小さなアパートに繰り広げられている。
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