第2話 二つのユメ

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脱ぎっぱなしの服、洗い物が溜まったシンク、溢れ出してしまいそうなゴミ箱。 掃除しなくちゃとはわかっていても、どうしても先伸ばしにしてしまう。 ゴミ屋敷とまではいかないけど、綺麗とは程遠い部屋の中、私は少し焦り気味で身支度を整える。 メイクもほとんどしないで、寝癖を直した私は朝御飯も食べずに登校。 一歩外に出て、降りしきる雨にもう一度溜め息を吐いて傘をさす。 雨のせいで薄暗い通学路を私はいつも通りに少し早足で学校へと向かった。 「よっ玲美!おはよ!」 「うわっ!ビックリした!」 登校中の突然の声に肩を震わせる私。 こんな雨の憂鬱を一発で吹き飛ばすくらい爽やかな笑顔で私を驚かせてきたのは駿。 私が驚いて肩を震わせた事が楽しかったのか、彼はイタズラな笑みを見せる。 「あはは、玲美はやっぱ感度いいなぁ!」
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