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その笑顔もまた殺人的。
駿と出会ったのは高校に入ってからだけど、何度見てもその笑顔には一発でノックアウトされてしまう。
瑞希君とは違い駿は人当たりがいいので、私もそこそこ話す機会も多い。
彼に対して好きだと断言できないけど、とても気になる存在。
もちろん私はずっと今までそれを隠し通してきた。
彼はモテるし人気者、瑞希君と同じように私なんかの手に届く存在じゃない。
彼にとってはただのスキンシップなんだろうけど、私にとっては心を乱す誘惑でしかない。
「さぁ、走って玲美」
「あ、うん」
雨の中、傘をさして走る二人。
水溜まりを踏んだ拍子に跳ねて服にかかるけど、今はそんな事を考える事も出来なかった。
手に伝わる彼の温もりは、この冷たい雨から私を守ってくれているような気さえした。
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