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特別な瞬間、それだけで私の中の恋心が揺れ動く。
こんな事されたら、好きになっちゃう……。
ダメなのに、暗い末路しか見えないはずなのに、その道へ進んでもいいんじゃないかって思っちゃう。
私は見ているだけで十分だったはずなのに。
「はぁはぁ……」
「ギリギリ間に合ったかな」
校門をくぐり抜けた時、私の制服はもうかなり湿っていて、傘を差している意味すらもうほとんどない状態。
「あはは、ビショビショだね」
「誰のせいだと思ってるの?」
彼自身も雨に濡れてビショビショになってしまっているが、それでもそんな事を気にせず彼は笑った。
彼が笑えばなんでも笑い話になってしまう。
「ホントにもう……はは、あははは!」
なんだか急におかしくなって私もつい笑ってしまった。
「ほら、このままじゃ風邪引いちゃうよ」
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