壱.一般人の入学

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「………………ロリータ」ボソッ 私を呼び止めた人の容姿ををまとめるとこの一言に尽きた。 「何か言いましたか?」 「いえ、なんでも」 ロリータさん(仮)の質問に私は笑顔で誤魔化した。その方が本人のためだと思ったの。 私は何気なく周囲を見回して、顔が引き攣るのを全力で止めた。………だって、周りのほとんどの人が目の前にいるロリータさん(仮)のように制服を大改造しているから。ついでに言うともう制服の原型留めてないし。 ロリータさん(仮)は今の私の心境が解らなかったらしく、キョトン、と私を見る。私は正常よ?正常じゃないのは貴女たちよ? 「コホンッ、大きな声で呼び止めてごめんなさいね。早速ですけど、貴女、まだどこの軍にも入ってないでしょう?よかったら、私たち『甲斐』に入りませんか?」 ゴメンナサイ。アナタハナニヲイッテイルノデスカ? どうやら、この人は勧誘しているらしい。部活もないのに。 そして、『甲斐』って?武田信玄さんが治めていた国名がどうかしたんですか? 「花宮。勧誘は明日からの話だと私は記憶しているが」 軽いフリーズになっていると後ろからかっこいい、勇ましいと思わせる声がした。
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