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last.
―――声、だった。
少年と少女の、感情を抑えるというより消し去ったような声。
「去らば友よ。
唇に乗せるはきっと
落書きの歌」
「さて、君は知ってるのか。
苦しみや哀しみを
ラヴァーズの喜びを」
「五月晴れの頃、
くるりと回った思い出を
羅列しましょう」
「去らば去らば去らば!
頂戴って叫んだのはいつの話
来世を待つのはもう飽きた」
くすりくすり、と笑い声。
感情が仄かに灯ったような、小さな笑い声。
「去らば
くだらない話
落下の日々」
「去らば
くすくす笑ったあの日
爛漫のあの日―――」
『――――さようなら――――』
それきり、声は絶えた。
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