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きらきらと落ちるものが綺麗だった。それがなんであれ、美しいものは美しい。なにかに埋もれずに輝くものが、きっと世界で一番美しいのだ。
「さて……あの輝くものはなんだろうか。綺麗だね。美しいね」
「―――黒い夢、って解る、君」
解らない、と少年の声がした。淡々と、氷より冷ややかな声。
「楽観視はいけないね、君」
あれはきっと、わたしを好いてた人が破った窓ガラスだよ。
少女の声は、少年の声と同じように冷ややかで、感情が込もっていない。否。込もっていない訳ではない、感情がないのだろう。そんなことを思わせる声。
―――彼は、空に落ちたんだね、と少年は声を紡いだ。
―――しかし、あのきらきらは、窓ガラスの破片は美しいんだろう、と少女の声は問う。
―――そうだよ、と感情がない声は答える。
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